ファラデー博物館
ロンドンの中心地、地下鉄ピカデリー駅とグリーンパーク駅の中間くらいの場所に王立協会という建物がある。ここの地下にマイケル ファラデー博物館があり、 観光地ではないので訪れる人はまれである。
マイケル ファラデーは電気と化学の分野で多くの重要な発見を行った。電気の分野では電磁誘導現象を発見した。電磁誘導とは電気と磁気の相互作用のことだが、簡単にいえば発電機、変圧器、電動機の基本原理、すなわち現代社会を支える電力技術の基本原理を発見したのである。
ファラデーは1791年貧しい鍛冶屋に生まれ、製本職人に弟子入りした。デービーという人の講演を聴き科学に傾倒し、やがてデービーの助手として王立協会に住みながら実験の手伝いをしていった。その後多くの重要な発見をしたが高等教育を受けていないため、ほとんど実験によるものであった。なお当時は自然哲学という概念はあっても自然科学という概念はなかった。
私が訪問する前に得ていた情報では記念館は工事中のため当分の間、閉館ということであったが、行ってみるとあっさりと中に入れてくれた。入館料は1ポンド、約200円である。
私が地下におりてゆくとファラデーの仕事場がそのまま保存されており、隣の部屋には彼が実験に使った道具が展示されていた。興味のない人にはただのがらくたにしか見えないが私にはどれもこれも感動ものだった。電磁誘導を発見したというコイルはガラスケースに収められ直径20Cmほどで思ったより小さかった。
今の私たちは電気がどういう法則に従い、振る舞いをするかわかっているが、当時としてはすべて手探りの状態だったのである。そういう状態で実験を繰り返したのであるから当然のことながら多くの失敗もしたことだろうと想像した。
地下室におりたまま出てこない私を心配して係りの女性が様子を見に来た。わたしはファラデーがいかに偉大であるか、わたしがいかに感動していることを話したが係りの女性は興味はなさそうだった。どこの国でも身内のものを遠い国からきてほめあげたところで実感はわかないのだろう。
ともあれ私はファラデー記念館の訪問が実現できたことでイギリス訪問の成果は十分に得られたと満足しながらホテルに帰ったのである。
(写真:電磁誘導の実験に使ったコイル)
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